writing 竹内伸一 / photo 歪

DJイマヤス~毒林檎

枕本バンドを率いる枕本トクロウのプロデュースによるイベント「東京プロトコル」。約1年ぶりの開催、晴れて2回目を迎えることとなった。今回は彼が共演したベーシストたちが在籍するウィウィマーフィーとおみwith俺が俺がぁず、さらにスキップカウズのイマヤスをDJに迎えての開催である。

1月22日、開演時間の19時少し前に会場の下北沢CLUB Queに到着すると、すでにイマヤスのDJタイムが始まっていた。彼のお気に入りの景気のいい音楽をガンガンかけて盛り上がろう!という趣向なわけだが、なぜか場内には「メリー・ジェーン」が流れ、イマヤスと、枕本バンドで出演するナカジマノブが抱き合ってチークを踊っていた……。すでに午前3時のカラオケスナックの様相だが、会場はそれなりに(?)楽しんでいる様子なので、これでいいのだろう。

いや、実際、イマヤスのDJはこの後、ライヴの転換時にも行われたのだが、これが実に盛り上がったのだ。ルースターズの「恋をしようよ」をかけてはサビの“やりたいだけ”を絶叫、Xをかけては“Xジャンプ”を観客全員に強要、ドミンゴスの「あの娘はビタミンC」では“ビタミン体操”に挑戦などなど、名場面が続出で観客を一瞬たりとも飽きさせない。この日が初めてのDJ体験だったそうだが、そうとは思えないエンターテイナーぶりは見事の一言だった。まあ、機材の操作に手間取っていたあたりは“初”といった感じだったが……。

ちなみにイマヤスはさかんに「プロトコルってどういう意味だ?」と気にしていたので、老婆心ながらナイツよろしくYAHOO!で検索してみると、「複数の者が対象となる事項を確実に実行するための手順等について定めたもの。日本語では、場合に応じて規定、議定書、儀典などと訳される」とあった。なんだか余計に分からなくなった気もするが、ともあれ、いずれ主催者にその真意を尋ねてみたい。

ライヴの一番手は毒林檎。イマヤスと遠藤肇(スキップカウズ/g)によるアコースティック・ユニットで、イマヤスが「DJだけでは忍びない」と、急遽出演することとなったのだ。ステージに登場するなり、「俺らは昭和のバンドマンだから、すぐに女を抱きます」とか「ペッティング!」を連呼するなど、イマヤスは下ネタのオンパレード。「最低……」との声が上がるほど、会場を微妙な空気に変えつつも、まずはスキップカウズの「」をしっとりと聴かせる。賑やかなMCとはあまりにもギャップがあるが、これだけしっかり聴かせる力があるからこそ、あの賑やかなMCも生きるというものだろう。

続いてDJでもかけていたルースターズの「恋をしようよ」、SHOGUNの「男たちのメロディー」とカヴァーを披露。「男たち~」では歌詞を飛ばすというハプニングもあったが、いずれもイマヤスの渋い歌声がマッチしており、聴き応えのあるカヴァーに仕上がっていた。最後に再びスキップカウズの「」でステージを降りたが、「このユニット、なかなか面白いねえ」と本人たちも手応えがあった様子。アコースティック・ヴァージョンで聴くスキップカウズというのは実に新鮮だったし、また、遠藤がBOOWYの「NO.NEW YORK」をいきなり弾き出すと、すぐにそれに反応してイマヤスが歌い出すなど、2人の掛け合いは見事で、さすが長年、活動を共にしているだけのことはあると改めて感心させられた。また、見られることを楽しみに待ちたい。

ウィウィマーフィー

続いての登場はウィウィマーフィー。バンドのロゴが入ったバックドロップが掲げられたステージにメンバーが登場、ナガトミリュウスケがおもむろにハープを奏で、ライヴがスタートした。そこに竹内正和がドラムでビートを加え、続けざまにギターのkozzzとベースのキタミタケシが入り、「ミリョク」のイントロへ突入。4人の音が1つになったこの瞬間、鳥肌が立つほどかっこ良かった。まるで一瞬にして景色が変わるかのような実にスリリングな場面で、それはロックンロールという音楽が放つ瞬発力とスピード感を体現しているかのようだった。そして、そこにウィウィマーフィーというバンドの魅力も凝縮されているように思えた。

 レゲエ・フィールの「KITCHEN」、ナガトミが黒の革ジャンから、ウェルタンルック風の衣装に着替え、バンジョーをフィーチャーして演奏されたカントリー・テイストの「Red is Blue」、ヘヴィなグルーヴが印象的な「金魚」など、多彩なスタイルを散りばめながら、後半は「Baby Roll」「クランベリージャム」「ケムリ」と、疾走感のあるロックンロールを矢継ぎ早に決めてくれた。両足を左右に大きく開き、仁王立ちのキタミの図太いベース、うつむき加減のkozzzの鋭いカッティング、楽しげな表情の竹内のタイトなビート、そしてナガトミの熱唱、この4つが一体となって奏でるグルーヴは、唯一無二のものだった。

おみwith俺が俺がぁず

イベントも後半に入り、おみwith俺が俺がぁずが登場。今回はサポート・ドラムに竹村忠臣(どこでもドアーズ、スロウロリス、ex.ザ・マスミサイル)を迎えてのライヴとなる。

「人類創世」「ボンノウ・ラヴ」といきなりノリのよい曲を2連発。俺が俺がぁずとはよく言ったもので、この4人、それぞれが実によく目立つ。クールな表情で轟音をかき鳴らすギターの加藤健、印象的なフレーズを連発するベースのEIJI、もちろんサポートの竹村も一歩も引かず、ハイテンション&爆音で叩きまくる。もちろん長身&タオルのオミは立っているだけでも存在感がある。しかも4人が個性を光らせながら、絶妙な融合を見せるというのがすごい。

2曲を終えたところで「今の2曲で悪いところが全部出た」とオミ。聞くところによると、彼らは当日までリハーサルができなかったらしいのだ。そう言われて思い返してみると、曲間に構成を確認しているふうな場面が確かにあったりしたが、演奏そのものはまったく問題がなく、逆にリハ不足が適度な緊張感を生んでいたようにも思う。そしてこの後も、彼らのテンションは最後まで落ちることなく、「世界にうんこを」「腹が減ったら戦が起こる」「穴節」などを一気に聴かせてステージを終えた。いやしかし、オミの世界観というかセンスは本当に唯我独尊だと思う。"うんこ"などというシモの言葉を使いつつ、しっかりとしたメッセージを伝えるという芸当は、彼にしかできないと感嘆した。

枕本バンド

トリを務めるのは、もちろん「東京プロトコル」の主宰者、枕本トクロウ率いる枕本バンド。ステージが暗転すると、まずは枕本がだけが登場した。彼らのライヴは演奏が始まると、基本的に最後までノンストップで続くため、MCはいつも冒頭に行われる。というわけで、今回もまずは枕本が、イベント成功のお礼を述べ、そしてメンバーを呼び込んでいった。"歌ってしゃべれるドラマー"を自認するナカジマノブは、話ができる場面がここしかないので、話したくてしょうがないといった様子で、「僕ら4人はパンツが一緒で……」云々と延々と話し出す。すると業を煮やした(?)枕本が、呆れ顔で「始めます」とピアノを弾き始め、いよいよ演奏が始まった。

枕本のピアノに導かれて、ベースのハル、ギターの松本タカヒロ、そしてナカジマがそこに音を重ねていく。ハルはピックで演奏。いつもは指引きの彼のその姿はなんだかとても新鮮だった。まずは「光の理由」をしっとりと聴かせ、続いて「不機嫌なワケ」「チャーリーブラウン」と、軽快な曲が並んだ。この2曲もそうだが、枕本の曲は、いずれもキャッチーなサビを持ち、高品質のポップスと呼びたくなるような側面がありつつも、その一方で変拍子のパートがあったり、複雑な構成だったりと一筋縄ではいかない面も併せ持つ。つまりは大衆性と趣味性が同居しているわけで、そこが実に個性的だと思うのだ。

ジャジーにアレンジされたT.レックスのカヴァー「20th Century Boy」に続き、「カッコー」では、中盤で枕本のドリフターズのような踊りや、クールにきめてきた松本の熱いソロ、前回のライヴで偶然生まれたナカジマの"ハンバーグ・ショット"(シンバルの空振り)などのパフォーマンスもあり、会場は熱気を帯びていった。そしてラストはキャッチー&プログレッシヴの象徴とも言える「バードソング」。汗を撒き散らさんばかりの4人の大熱演は、この日のクライマックスだったと思う。時間の都合(だと思う)でアンコールはなかったが、最後は枕本の音頭で、会場全員で一本締め。「東京プロトコルVol.2」は大団円となった。

キャリアに裏打ちされた実力と個性を持つ4組の競演となった第2回の「東京プロトコル」。4組ともいずれも交流があるだけに、友達同士が集まる気安さと楽しさもありつつ、ライバル心も垣間見えつつといった感じで、実に見応えのあるイベントだったと思う。さて、第3回目はどんな趣向で楽しませてくれるのだろうか。

 

東京プロトコル -Tokyo Protocol- vol.2
2009/01/22(thu) 下北沢CLUB Que
LIVE:枕本バンド / ウィウィマーフィー / おみwith俺が俺がぁず
DJ:イマヤス(スキップカウズ)